おいしい冷凍保存・解凍のコツ

冷凍野菜

おいしく冷凍するコツは?

けっこうお世話になっている冷凍ですが、おいしさをキープしようとすると奥が深い保存方法でもあります。冷凍保存をうまく活用することで、食材を長持ちさせ、フードロスを減らすことができるので、ぜひ覚えておきたいところ。

おいしく冷凍するコツは「新鮮なうちに」「すぐに冷凍」することです。

新鮮なうちに冷凍保存しよう!

つい残してしまったものや傷みそうなものを冷凍したくなりますが、新鮮なうちに冷凍したほうが美味しく食べられます。すぐに食べる分と、冷凍する分をあらかじめ分けておき、先に下処理をして冷凍するなど、最初から冷凍保存を視野に入れましょう。

すばやく冷凍しよう!

食材を急速に凍らせることで、味が落ちるのを防ぐことができます。早く凍らせるためにも、小分けにしたうえで、平たくしてからアルミトレイの上に載せておくといいでしょう。アルミは熱度伝導率がよいので一気に冷たくなり、食材を凍らせる速度が早くなります。

また、できるだけ空気を抜いた状態で保存するのがベター。また、空気を抜いておくと冷えるのが早くなります。また、空気に触れて酸化が進むことで傷みが早くなるのを防ぐことができます。

凍らせるのに時間がかかると氷の結晶が大きくなって食材の細胞が傷みやすく、味も落ちてしまいます。お肉や魚の場合は、解凍する際にドリップが出やすいのも特徴のひとつ。ドリップは、食材の細胞が傷つき、保湿できなくなって、食材の水分が出てしまったもの。水分が富んでいるため調理時にパサつきを感じやすくなりますし、味も落ちてしまうのがデメリットです。

冷凍に向いている食材

パンやごはんなどの主食、お肉や魚、キノコ類、薬味などで使うネギ、ほうれん草・小松菜といった葉物系の野菜、ブロッコリーなどは冷凍に向いています。葉野菜はそのまま冷凍すると偏食するので、軽く下茹でしてから冷凍するのがいいでしょう。葉野菜については、今は冷凍で市販されているものも多いので、それを活用しても良いですね。

冷凍に向いてない食材はある?

「水分が多い野菜」や「繊維質な野菜」は、冷凍には向いていません。これは、冷凍できないわけではなく、冷凍すると食感やが変わりやすいからです。

水分が多いと氷の結晶が大きくなりやすいため、冷凍させると食感が変わります。例えば、レタスやトマトがそうです。品質が落ちるわけではないので、トマトであればピューレやペーストにして使う分には気にならないでしょう。トマトベースのスープを作るときや、離乳食の材料としても使われているようです。

ジャガイモをはじめとするイモ類も、冷凍すると食感がぼそぼそしてしまいがちなので、揚げ物くらいにしか使えなくなってしまうのが難点です。

繊維質な野菜は、解凍する際に筋っぽさが強くなってしまい、おいしさを感じにくくなります。にんじん、ゴボウ、大根レンコンといった根菜類は要注意です。ただし、これも食感が変わるだけではあるので、カレーやシチューなどの煮込み料理系、大根であればすり下ろしてから冷凍する分には気にならないでしょう。

下ごしらえでもっとおいしく冷凍しよう

冷凍させる前の下ごしらえは、総じて「食材内の水分を少なくする」処理です。水を凍らせて再び解凍しても、もとの水に戻りますが、食材はそうもいきません。食材を解凍すると、細胞が傷つき、ドリップと一緒にうまみが流れ出てしまいます。そのため、先に下ごしらえをしておいて、食品内の水分をぐんと抑えることで、氷の結晶ができるのを防ぎ、素材の細胞へのダメージが小さくなり、おいしさも損なわれにくくなるのです。

下ごしらえには、主に2つあります。

塩や砂糖で水分を抜く

塩や砂糖を使うと、お肉や魚の中にある水気が滲み出てくるので、余分な水分を拭きとってから冷凍します。塩や砂糖をまぶすことで水気が出るのは、「浸透圧」が関わっています。水は、薄い液体から濃い液体の方へ浸透していくという性質があります。そのため、細胞内に含んだ水よりも、表面の塩水・砂糖水というより濃度の高いほうへ移動するため、この性質を利用して水気を抜くことができるのです。砂糖は果物類にまぶすことで、果物をおいしく冷凍できます。

野菜は茹でる

野菜類は基本的に水分量が多いため、そのまま冷凍すると氷の結晶が大きくなりがちで、解凍時にドリップが出やすくなります。冷凍した野菜はどうしても柔らかくなり、シャキシャキ感が失われるので、冷凍した野菜でサラダを作るというのは避けたほうがいいでしょう。

ただ、野菜は最低限の加熱処理を行なってから冷凍をすると、食感が残りやすくなります。家庭では、さっと下茹ですることになります。普通に冷凍すると色がどんどん落ちていってしまいますが、下茹でによって青々とした色を保つことができるのです。

このような、短時間の加熱処理は「ブランチング」と呼ばれていて、市販の冷凍野菜にもこの下処理がされています。市販の冷凍野菜が青々とした色を保っているのは、このひと手間があるからこそ。

基本的に、冷凍でもそうでなくても栄養価に大きな違いはありません。ただし、水溶性のビタミンやカリウムなどは、下茹でのときに流れやすくなるので、水溶性のビタミンは冷凍以外で補う必要はあるかもしれません。

「下味冷凍」で調理を時短しよう!

忙しい毎日の料理を短縮してくれる便利な冷凍方法が、「下味冷凍」です。その名の通り、お肉や魚などを、下味を付けた状態で冷凍してしまう方法です。すでに味のついている素材を調理するだけですみますし、しっかりと下味がついた状態で保存できます。

お肉や魚が安くなっているタイミングで多めに購入し、下味をつけて保存しておけば節約にもなりますよ。

食材は、食べやすい大きさにカットしてから下味につけることと、冷蔵庫で30分くらい寝かせてから冷凍庫にしまうのがコツ。食べやすい大きさに切れば調理時の時短にも繋がりますし、味もしっかりとしみこみます。

解凍する方法

冷凍させるときはもちろんですが、解凍させるときにもコツがあります。食材にダメージを与えるような解凍方法を選ぶと、うまみが逃げてしまったり、食材が傷んでしまったりすることもあります。それぞれの解凍方法のポイントを押さえることで、おいしさを損なうことなく調理できます。

凍ったまま使う

料理によっては、凍ったままで調理をしても問題ありません。例えば、冷凍した野菜は凍ったまま使うことができます。汁物にしたり、炒め物にしたりと、過熱をする調理に使いましょう。あさりやホタテなどの貝類や、干物類も凍ったまま活用できます。

調理済みの冷凍食材も、凍ったまま使えるものがあります。例えば、冷凍からあげは、トースターでじっくりと温め直すと、カリッとなっておいしく召し上がれます。時間がない場合や、いきなりトースターで温めるのは心配だという場合は、一旦電子レンジで軽く温めてからトースターを使うといいでしょう。

常温解凍

冷凍庫から出して置いておくだけの、とてもシンプルな解凍方法です。常温解凍に向いている食材は、解凍してすぐ食べることができる食材、もしくは解凍をしてもあまり変わらないような食材です。

例えば、加熱加工してあるかんぴょうなどの食材や油揚げなどの加工品、ワサビやショウガなどの薬味、スポンジケーキなどのお菓子、ソースやタレ、下茹でされており自然解凍で食べられるブロッコリーや枝豆などです。

注意点は、室温(20~25度)は細菌が繁殖しやすい環境なので、長時間の放置はNG。同じ理由で、お肉や魚介類は衛生的に危険なので常温解凍をしてはいけません。また、常温解凍がOKであっても、食中毒になる可能性は否定できません。夏場にはできるだけ冷蔵庫の中で解凍することをおすすめします。

冷蔵庫で低温解凍

冷蔵庫内で時間をかけてゆっくりと解凍する方法です。急速に解凍することがないため品質をほとんど落とさず、ドリップの量を少なくできます。細菌が繁殖しにくい冷たい環境で解凍できるという点から、お肉や魚介類といった生ものを解凍する方法として便利です。デメリットとしては時間がかかることです。

サラダチキンや漬物などの冷たいおかずも、冷蔵庫でゆっくりと解凍することで、おいしさをキープしやすくなります。また、下味冷凍しておいたお肉や魚を焼いて調理する際には、できればドリップが出にくい低温解凍をしてから使ったほうがいいでしょう。もちろん、凍ったまま焼くこともできますが、お肉がバサバサになりがちです。

流水解凍

フリーザーバッグに入れたままの状態で流水にさらすことで解凍する方法です。常温の水を使うこともあれば、温水を使うこともあります。水を使うことで解凍が早くなりますが、急速解凍になるのでドリップが出やすい点がデメリットです。

しかし、下味冷凍しておいた食材であればドリップが出やすいという影響をほとんど受けないので、急いでいる時には便利でしょう。冷蔵庫で解凍すると時間がかかりすぎるような塊肉を、すぐに解凍して調理したいときにも向いています。

食材に直接水が触れると、風味や栄養を損なうことがあるので、注意しましょう。

電子レンジ・湯煎解凍

急速冷凍の一つで、凍ったまま電子レンジや鍋を使って温める方法です。解凍だけではなく加熱調理まで済ませることができるので、炊いたお米やスープなど、すでに調理が済んでいる食品を温め直すのに向いています。生ものを解凍させる場合は、電子レンジの解凍機能を使うか、解凍機能がない場合は500wなど低めに設定し、様子を見ながら短時間で解凍させます。

ただし、電子レンジを使うと温めムラが出やすいというのがデメリット。片方は温かいのにもう片方が凍っているという状態になることもあります。時間があれば、冷蔵庫ですこし解凍しておいてから電子レンジで温め直すという方法がおすすめです。